こっちで書くことにする

  • ロリコンファルさんとこに何か書かれていたので、どーもすれ違ってる可能性が高いと踏んで一応書いとく。これね。話がズレ放題であるのがむしろ面白いと思われる。

http://d.hatena.ne.jp/kagami/20070929#p1

>???急に論旨がぶっ飛んで訳が分からなくなってますよ…(^^;

 単に、コンテンツファンド作ってるような人たちがプロット読んで「ツンデレ」と言っても分かる外人は一人もいないので、日本のヲタ独自の記法、記号と判断します。日本人でも外人でもヲタ属性、ヲタ文化をよく理解しているのは少数だというのが背景にあるので、ヲタの文脈だけで成立した記号は使い物にならんなあというのが正直なとこです。

>例えば「エヴァンゲリオン」のミサトさん葛城ミサト)は、主人公のシンジ君に好意を持ってますし

 観てないので知りません…

>私が最近プレイしたエロゲ「Zwei Worter」(2007/04/27発売)のヒロイン、ワダツミ・サクヤはそうでしたね

 エロゲも知らんので… すいません。

>オタ作品をある程度、ざっと全体概要を見渡せるくらいは最低限知識がないと、「ヲタの文脈で成立してるだけのもんです。」みたいにオタ作品を一概に決め付けて語るのは難しいのではないかと思います…。

 何度か書くけど、当方は事業家や投資家である一般人にヲタ系コンテンツの良さなり採算性なりを説明しなければならないが、あからさまに衣装でわかるメイド何とかは理解されても、ヲタに受ける何らか機微は最後まで理解されない。

 ヲタ系作品が一般的な地上波なり邦画なりで高い評価を受けても商業的に成功しないのは、ヲタ属性がヲタの文脈の中で見極める萌え(に限らんが)属性の品質を一般の人たちは何ら共有しないという点に問題がある。

 その前のエントリーのキリスト教的女性観としての悪女については同意。ただし、エヴァンゲリオンとか最近のガンダムとか、一般の人を集めて何話か見てもらって感想を聞くと、人物表現が薄いという嫌悪感を込めた反応が大勢を占めてしまう現象があって、いわゆるストーリーの中で完結する類の悪女(オセローの例示がありましたな)よりももっと幼稚で、低い目線の女性(有体にいえば女の子)の未熟な精神が引き起こすギミックに終始してしまって、一般の視聴者の共感が得られないわけです。

 ただし、ヲタはその中に美学を見出したり品質を論じる力があって、様式化されているので、ヲタの間で支持されれば広くヲタの間で話題となって普及するといった事例は数多い。そこにヲタ向けコンテンツで頑張る各社各様の戦略があるようではあります。

  • ついでにこちら。

http://d.hatena.ne.jp/sirouto2/20070929

 まず、独断で書かれている内容、私の文意を読み解けていないようであるので、そのあたりは指摘しておきましょう。

>オタクは視野が狭い、というような指摘への反論

 私は別段「ヲタは視野が狭い」などという料簡は持ち合わせてません。ヲタが力説することを一般人が理解しないこと、結果としてヲタが支持する作品が一般ウケせず採算が悪く撤退が相次ぐことを指摘しているだけです。

ツンデレと悪女の違い

 表面と内面で四分象限で分類していますが、文学なり演劇なりヲタ作品なりでこのような類型化することは可能なのでしょうか。私が思うのは画一的な女性観(女性に何を演技させ、語らせるか)で分類することは困難であろうという点です。無論、プロットを分類してその女性がストーリーにどのように絡んだかという分類は可能ですが。

>悪女は、個人間の恋愛を手段にして、目的の社会的欲望を達成しようとする、要するに誘惑します。

 この定義は支持しません。推定無罪やらスティングやら本編に恋愛が存在しないものでも女性表現としての悪女は様々に存在するものであって、そのような定義をしたらいろんな作品の女性がこぼれることになります。悪女的表現の中にはツンデレも含むだろうし、ツンデレと対照的な表現もありうるだろうと考えているのです。

>一方ツンデレは、社会的関係が原因*1になり、個人的な恋愛を結果的に達成します。

 うーん、当方にはそれは単なるストーリー上の様式(登場人物においては記号)でしかないように思うわけですが。それはヲタの中では完全なコモンセンスなんですか? 前提になる定義が個人的には不可解です。

>小学生が好きな子に意地悪するような側面がある。しかし、成熟と未熟というのも別の見方をすると、不純な悪女と純情なツンデレという対にも見えます。

 主張は理解しますが、これは悪女がすべて不純である、本心承知の駆け引きを男性に挑んでいるという確信犯の成人女性のことしか想定してないんじゃないですか? それ以外の悪女的表現、もともとは主人公と敵対していたけれど、心の触れ合いを通じて協力関係を築くという類のものもあると思うのですが。

>従って、ツンデレと悪女は、包含的ではなく対照的な関係だと捉えます。

 これは対照的な関係も含むだろうと主張しておるわけです。主人公や男性の登場人物にとって計算の立たない女性を悪女と踏まえ、だから悪女的表現⊇ツンデレだと書いたのですよ。必ずしも悪女が性的関係を前提に物語りに絡むわけでもない。

 ツンデレの定義からして対照的な悪女的表現もあれば、ツンデレの字義通りの悪女的表現もある。そこにヲタが萌えるか萌えないかはヲタの想像による印象補完の結果であって、一般人はあまり丁寧に作品の背後関係を考え補完してくれないから、ヲタの作品を理解する一般人層そのものが少ないんじゃないの、という論旨です。

>二つの類型は「ヒステリー」と「倒錯」という、異なる由来を持っていると考えます。

 ヲタ作品に限らず、登場人物の設定や解析としてはそのような考え方もあると思います。それは否定しません。

>オタクマーケットの中でしか評価されない作品が出回る現象と、子供向けや世代を越えて楽しめるアニメが減る現状は、そんな簡単に因果関係(「だから」)で結びつけられない*10でしょう

 もちろん仕事がらみの話であるからすべては書きようがないし、本件で言うなら直線的な因果関係であるはずがありません。結論はそのものだけど。単純に、昔ほど売上が上がらなくなったから撤退というような話じゃないと思います。ただし、全年代が楽しめる作品の減少は、テレビの前に一家揃わなくなってきている理由とは別に、いわゆる大きな子どもたちが市場と一緒に歳を取ってしまったという問題はあるかもしれませんね。

>「手塚治虫以降のアニメ産業の体質的課題」とは微妙な書き方なので、あまり深く追求しませんが、もし「手塚治虫のせいでアニメ業界はずっと貧乏」みたいな話なら、そこには、少し誤解がありそうな気がします

 これも、手塚治虫だけが問題だと論じるつもりはなく、ただし恒常的にアニメは安価に番組制作できると位置づけられた原因のひとつが手塚プロだという意味では間違いなく問題あったろうというのが主張で、大枠は以前別の著作で書きました。

 金勘定の世界から見れば、コンテンツ会計がまだ発展途上であることを除いてもアニメ関連各社の経営状態は彼らのアニメに対する献身的な努力にも関わらず劣悪としか表現できません。500円のものを250円で受注するような状況が常態化しているように思います。

 まあ、ここんとこ劇場向けアニメが立て続けに不採算でみんな困ってるだけかもしれないけどね…。